診療情報
イオン飲料 飲み方注意
暑い日が続きます。水分補給を目的に、スポーツドリンクなどのイオン飲料を子どもに与える保護者も多いでしょう。ただ、飲み方によっては、虫歯を引き起こす恐れもあります。大阪大学歯学部教授で、小児歯科が専門の仲野和彦さんに聞きました。
虫歯のある子どもは近年確実に減少しています。一方で、本来はなりにくいはずの前歯などに虫歯ができるケースが目立つようになりました。原因の一つとして、イオン飲料の飲み方が考えられます。
スポーツドリンクや経口補水液などのイオン飲料は、体に吸収されやすく、疲労回復などに効果があるとされます。子どもが下痢や嘔吐をした際に医師や友人に勧められて飲ませるようになり、良いイメージを抱く保護者も多いようです。
ただ、イオン飲料には塩分やカリウム、糖分が含まれています。普通に食事がとれている状態でたくさん飲むと、かえって喉が渇き、飲み過ぎてしまいます。
また、口の中の水素イオン指数(pH)が5.4以下になると、歯のエナメル質が溶けて虫歯になりやすい状態となります。イオン飲料のpHは3.6~4.6ほど。口の中に残る状態が長く続くと、虫歯ができやすくなります。虫歯予防の観点からいうと、「赤ちゃんに哺乳瓶で就寝時に与える」「ペットボトルで持ち歩いて1日に何回も飲ませる」といった習慣は避けてほしいですね。
ジュースなどでも同様ですが飲む際は長時間だらだら飲まないようにしましょう。飲んだ後は水やお茶を飲んで口の中に残った糖分などを流すようにしてください。
寝る前に飲むのは特に注意が必要です。唾液には虫歯を抑える働きがありますが、寝ている間はほとんど出ないからです。就寝前は、乳児は保護者がガーゼで歯を拭き、幼児以降はしっかり歯磨きをするようにしてください。
水分補給は、水やお茶をメインにすればいいでしょう。飲み方に注意して、虫歯から子どもの歯を守ってください。
引用:読売新聞(大阪)2018年8月20日 朝刊21面