診療情報
歯がなくなると太りやすくなる?
「歯がなくなると太りやすくなる」とは、どういうことでしょうか。
歯がなくなると食べ物をかみにくくなり、食事が困難になります。十分な栄養を摂取できないと痩せてしまうように思えますが、ヒトというのはよくできていて、食べにくくなれば糖質の多いかみやすいものを食べるようになります。糖質の多い食事はカロリー過多となり、栄養バランスが崩れます。この状態が続くと筋肉が減りエネルギーを消化しきれず、カロリーが残って体脂肪となり肥満化します。「風が吹けばおけ屋がもうかる」ような話ですが、食習慣が変化することにより体にも変化が生じるわけです。
では、どうすれば健康な状態を取り戻せるのでしょうか。歯がなくなり、糖質に偏った食事を続けた結果、太ったのであれば、元の状態に戻せばよいのです。歯がなくなっても放置せず治療し、かむ効率を高めてバランスの良い食事をすれば、健康な状態を取り戻すことができます。
ただし「歯を治療したのに、さらに太ってしまった」とならないよう注意が必要です。今まで「ラーメン」だけだった人が、歯の治療後、食べやすくなって「ラーメンライス」を食べるようになってしまっては逆効果です。一度変わってしまった食習慣を元に戻すのは大変なので、治療後のカロリーには気をつけましょう。
筋肉を付けて脂肪を燃やし、さらに糖質を減らす。これで太りにくい体質になります。バランスの良い食事と適度な運動で、健康で楽しい生活を送りましょう。
(近江八幡市、黒岩敏彦=滋賀県歯科医師会)
引用:中日新聞 2018年3月14日 朝刊15面