診療情報
口腔機能管理 機能維持、改善目指す
「口腔(こうくう)機能管理」という言葉をご存じですか。「口腔機能管理=口腔ケア」と思われることが多く、その内容を口腔清掃のことと思っている人が多いようです。
口腔には、話したり食べたりと、命を維持する重要な機能がたくさんあります。その機能の維持・低下予防・改善を目的とした管理を口腔機能管理と言います。
その中の一つが口腔清掃ですが、要介護者の場合には、ご家族や入院先の看護師が行うこともあります。これは専門的な教育を受けた歯科医師や歯科衛生士が行う口腔清掃とは異なります。
最近、口腔環境の悪化がさまざまな全身疾患と関連することが分かってきたことで、口腔環境に気を使うようになり管理を希望する患者さんが増えました。その一方で、どんなに気を付けていても歯が失われることは避けられず、かむ能力を回復するために差し歯や入れ歯などで対応します。
特に入れ歯は、かむ能力だけではなく、あまり知られていないませんが、飲み込みにも重要な働きをします。さまざまな原因で飲み込むことが困難になった場合、入れ歯を特殊に調整することで改善されることも少なくありません。口腔機能を維持できなくなった要介護者や、徐々に機能が低下してきた高齢者の管理として注目されています。
健康寿命が延びている昨今、口腔機能管理は極めて重要な健康管理の一つです。
(福島歯科医師会)
引用:福島民報 2017年12月18日 朝刊19面