診療情報
さまざまな身体症状 危ない歯ぎしり
「かみしめ」や「歯ぎしり」によって歯に必要以上の力が加わると、オーバーワークになり、さまざまな身体症状が現れます。急に歯が痛んでかみ合わせることができなくなる、歯がしみる、などが主な症状です。また、「咬耗(こうもう)」といって歯がすり減った状態になって破折してしまったり、歯周病が進行していく場合もあります。さらに、顎が開閉時にカクカクと音がしたり、痛くて開口できないなど顎関節症が悪化することもあります。一見関係のないような肩凝りや偏頭痛、いびき、睡眠時無呼吸症候群と関係する場合もあります。
歯ぎしりによって特定の歯に必要以上の力がかかると、歯を支える骨と歯の間にあるクッションの役割をしている線維が外傷性の炎症を引き起こしてしまいます。これを防ぐために、スプリントという樹脂性のマウスピースを装着して歯や顎にかかる力を軽減させて治療します。
そのほかにも、日中意識のある時に、歯をかみ合わせないようにすることが大切です。
それは、本来、歯と歯は接触せずに一~二ミリ程度の空隙(くうげき)がある状態が顎を安静にできる位置のため、ものや唾液を飲み込むを飲み込む時以外はなるべく歯と歯を合わせないようにすることが大切だからです。それにより、睡眠時に起こる歯ぎしりや食いしばりを少なくすることができます。
自分の体の仕組みを理解し、歯の寿命を延ばすことはとても大切なことです。
(県歯科医師会)
引用:福島民報 2017年3月20日 朝刊 10面