診療情報
ドライマウス 原因探り対症療法を
唾液は人の口の中だけでなく、体にとって重要な役割があります。健康な成人では、一日約1.5リットルの唾液が口の中で分泌され、「歯の表面を修復(再石灰化)し歯を守る」「抗菌作用」「消化作用」「味覚や発音を助け、食べ物を飲みやすくする」「舌や口の中の粘膜を保護する」などの役割を果たしています。
さまざまな原因で唾液分泌の低下が起こると、「口が乾いて、舌や口の中が痛い」「歯がしみる」「口の中がネバついて口臭がある」「目と口が乾く」などの症状が起きてきます。これらの不快な症状に悩んでいる人は、中高年を中心に日本には約3千万人いると推定されています。唾液の分泌には自律神経のバランスが関係しており、また糖尿病やシェーグレン症候群など、別の病気の症状として現れることもあります。さらに、習慣的な歯ぎしりや口呼吸の癖、薬の副作用、加齢や筋力の衰え、などが関係することもあります。原因によっては複数の診療科の治療が必要な場合も多く、内科・眼科・精神科など他科と連携して治療を行っていきます。
唾液分泌低下に起因するドライマウスの症状は、直接生命の危機に関係しないため、我慢している人も多いといわれています。症状のある人は早急に原因を探り対症療法を行い、状態改善させることが大切です。不快な症状を取り除くことで、生活の質の向上に繋がります。
(福島県歯科医師会)
引用:福島民報 2015年10月5日 朝刊6面