診療情報
全身の老化速度にも影響
むし歯や歯周病で歯と口の機能が衰えると、全身の老化のスピードが速まります。例えば、奥歯が1本抜けると噛む力は半分になり、硬いものが食べられなくなります。また、前歯が抜けると発音が悪くなり、会話も億劫になります。これらの影響は認知症のリスクを高めることになります。
歯が抜ける大きな原因は、歯周病です。歯ぐきの隙間にたまった細菌で炎症が起こり、放置するとやがて歯ぐきが崩れて歯を支えられなくなります。さらに歯周病が怖いのは、ほかのさまざまな病気を引き起こすことです。糖尿病が悪化したり、動脈硬化が進んで、アルツハイマー型認知症の原因物質が増えるという研究報告もあります。
歯周病を防ぐには、食後に歯磨きをして口の中に食べかすを残さないようにすることです。また、歯に付く歯石は細菌のすみかとなりますが、家庭の歯磨きでは取れません。かかりつけの歯科医院で定期的に除去してもらいましょう。
丈夫な歯で食べ物をしっかりとよく噛んで食べると、口や頬の筋肉が鍛えられ飲み込む力が強くなります。また、唾液の分泌が増えて口内の殺菌能力が高まります。さらに、口を活発に動かすことで脳の血流が増えて、認知症を予防する効果もあります。
歯と口のケアは、全身の健康を保つために非常に重要なのです。
(県歯科医師会)
引用:福島民友 2014年7月21日 朝刊12面