診療情報
奥歯を失うとアルツハイマー病の発症リスクアップ!
かみ合わせとアルツハイマー病の関連性
歯を失って奥歯でかめなくなると、アルツハイマー病の発症リスクが34~54%高まる…
このような論文が、アルツハイマー病の国際専門誌で発表されました。歯が減った人の発症リスクが高いことは分かっていたものの、とりわけ奥歯の重要性が確認されたといいます。
研究チームは、全国30市区町村が参加するデータベースを使用し、2017年4月~18年3月時点における65歳以上の住民2万2687人のレセプト(診療報酬明細書)を調べました。
その結果、上下左右4ヶ所の奥歯(小臼歯と大臼歯、計16本))のうち、上下で対となる歯の片方か両方を失い、奥歯のかみ合わせが1~3ヶ所しか残っていない人や前歯だけかみ合う人は、4ヶ所すべて残っている人に比べて発症率が1.34倍高かったそうです。また、奥歯4ヶ所に加えて前歯もかみ合わない人は、1.54倍高いというデータが発表されました。
奥歯は食べものを細かく砕いて塊を作ることで、飲み込むのに重要な役割をはたしています。論文によると、奥歯を失うと食事がままならず、栄養が不十分になるなど発症リスクが高まるそうです。
さらに、歯の周りには、多くの神経が存在します。咀嚼を行って食事をすることで、脳に刺激が与えられます。しかし歯を失うと歯の周りの神経も失われ、脳への神経情報が減少します。これも発症リスクの上昇につながると考えられています。
この研究結果により、かみ合わせとアルツハイマー病の関連が認められました。歯を大切にして、なるべく歯が抜けないように努力し、しっかりと噛むことをすればアルツハイマー病のリスクは軽減できるのではないかと考えられます。奥歯を失った場合は、インプラントや義歯でかみ合わせを回復することが大切でしょう。
西日本新聞 ‘24.4.22より