診療情報
口の虚弱、全身に影響
この記事を読まれている方、あるいは家族の中で、加齢に伴って滑舌が悪くなってきた、食べこぼしをするようになった、食事中むせるようになった、よくかめない食べ物が増えてきた、そんなことに心当たりのある方はいらっしゃるでしょうか。
健康な状態と要介護の中間「虚弱」の状態を示す「フレイル」という言葉が提唱されているのですが、口の機能低下に関しても近年、オーラル(口腔の)という言葉を組み合わせて「オーラルフレイル」という言葉が提唱されています。
オーラルフレイルとは食べ物をかむ機能や、飲み込む嚥下(えんげ)機能、舌や唇を動かす機能が低下していく状態です。オーラルフレイルを放置してしまうと、食事量や食欲の減退につながり、体力の低下や全身的なフレイルにも影響すると考えられます。また、口には話すという機能もあるので、その機能が衰えると、人と接する機会も薄れ、肉体的だけでなく精神的にも衰えていくことも考えられます。
オーラルフレイルを防いで、健康な状態に戻すには、むし歯や歯周病で歯を失わないように歯と口のケアを心がけることが第一です。また、食事の時よくかんで舌や口まわりの筋肉を使う、積極的に人と話したり音読したりして声を出す、といった、舌や口まわりの筋肉が衰えないように意識することも重要です。
(県歯科医師会)
引用:福島民報 2019年4月8日 朝刊13面