診療情報
口、舌、喉「食べる力」鍛えよう
健康を保つには食べることが欠かせません。ただ、食べ物をかんだりのみ込んだりする機能は、年齢とともに衰えていきます。この機能が損なわれると、誤嚥(ごえん)や欠食が起きるようになり、誤嚥性肺炎や低栄養などにつながりかねません。口や舌、喉を鍛えることで防げる、実践しやすいトレーニング法を紹介します。日頃から口や舌、喉の筋肉を意識して”食べる力”を維持しましょう。
衰えるのは50代から
国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科の藤谷順子診療科長は「食べ物をかんだりのみ込んだりするには、口や舌、喉の筋肉などが深く関わっている」と説明します。加齢や病気でこれらの機能が衰えると、食べ物が口の中に残ったり、食道ではなく気管に入ると誤嚥を起こしたり正しく食べることができなくなります。
このような状態が続くと、食べるものが偏ったり、食欲がなくなり食べる量や回数が減ったりします。十分な栄養が取れず体力や抵抗力が落ち、低栄養や肺炎などのリスクが高まります。
藤谷診療科長は「食べる機能を損なうと健康に大きく影響する。いつかは衰えるものだという自覚を持ち、訓練などで機能を維持することが大切だ」と指摘します。
食べる機能の衰えは、50代から始まるといわれます。まずはセルフチェックで、自分の状態を確認してみましょう。
【口、喉の力のセルフチェック】
該当する項目をチェックし、(1)~(5)に該当した数を書き込みます。複数該当すると力が衰えている可能性があります。トレーニングで鍛えましょう。
・食事中、食べ物が口から出てしまうことがある(1)
・口で呼吸をするようになった(1)(4)
・一口分を一度にのみ込めないことがある(2)(3)
・食後、せきをすると食べ物がでてくることがある(2)(3)
・話す言葉が聞き取りにくくなったと言われる(1)(2)
・ぱさぱさした物が食べづらくなった(5)
・口が乾燥するようになった(1)(5)
・「あー」と声を出し続けることができない(男性20秒、女性15秒以上)(4)
・せきをしようと思ってもすぐにできない(4)
(1)そしゃくをする力 [ ]個
(2)舌を動かす力 [ ]個
(3)のみ込む力 [ ]個
(4)せきをする力 [ ]個
(5)唾液を出す力 [ ]個
※藤谷診療科長への取材を基に作成
引用:日本農業新聞 2019年2月19日 朝刊12面 1/2