診療情報
歯磨きしないと心臓病になりやすい?
歯周病は、口腔内の衛生状態の悪い人が発症しやすいといわれており、慢性的な炎症は、心臓病などの動脈硬化性疾患の主要な原因と考えられています。
英国医師歯科会誌2010年5月27日号に、歯磨き頻度と心臓病リスクを検討した論文が掲載されました。
この研究は、スコットランド健康調査の、95年、98年、03年の一般住民1万1869人(平均50歳)の歯磨き頻度に関して、平均8.1年の追跡調査を行ったものです。
歯磨き頻度が1日2回(8481人)、1日1回(2850人)、1日1回未満(538人)の3つに分類され、年齢、性別、社会経済的状況、喫煙、身体活動、歯科受診、BMIなど、心臓病発症に影響を与えうる因子を考慮し解析を行っています。
その結果、心臓病の発症は、歯磨き頻度が1日2回の人と比べて、1日1回の人で1.3倍、1日1回未満の人で1.7倍多い可能性を示唆したそうです。
この結果だけでは、心臓病発症と直接的な因果関係がるかどうかについては、まだ不明な点もあるそうですが、他にも高血圧で1.7倍、糖尿病で1.9倍、心臓病のリスクが増えることも示唆されており、口腔内衛生状態は生活習慣病と匹敵するリスクであることは、軽視できないかもしれません。
参考記事:日刊ゲンダイ2015年8月6日「役に立つオモシロ医学論文」